山浦 莉弥のブログ

大阪で建てる「パッシブデザイン」

  • 2025月12年04日
  • 投稿者:山浦 莉弥

こんにちは!住宅アドバイザーの山浦です。

「大阪で家を建てる」と聞くと、どんなイメージをお持ちでしょうか?

活気ある街並み、美味しい食べ物、そして…、夏の蒸し暑さ冬の底冷えですよね。

特に八尾市周辺は、生駒山系からの吹きおろしや、大阪平野特有の冷たい風が吹き付けることもあり、体感温度は数字以上に厳しいものです。

夏のヒートアイランド現象も年々深刻化しており、「家の中まで熱がこもる」という悩みは、私たち大阪で暮らす者にとって共通の課題です。

そんな大阪の気候風土を知り尽くした私たちだからこそ、声を大にしてお伝えしたいことがあります。

それは、エアコンなどの設備に頼る前に、まず「パッシブデザイン」の視点を持つことの重要性です。

私たちが提唱するのは、ただ高効率なエアコンを設置するだけの「設備頼みの省エネ」ではなく、「建物の力で実現する、本質的な省エネ」です。

パッシブデザインとは、一言でいえば「自然の力を賢く利用する設計手法」のこと。

最新の設備でエネルギーを消費して快適にするのではなく、太陽の光や熱、風といった昔からそこにある自然エネルギーを最大限に活用し、

建物の力で快適な環境をつくり出す、サステナブルな考え方です。

大阪で暮らす私たちがパッシブデザインを取り入れるのは、もはや「賢い選択」ではなく、「必須の選択」だと考えています。

なぜなら、それが「春も夏も秋も冬も快適」な、本当に心地よい暮らしを約束してくれるからです。

大阪の陽射しと風を味方につける具体的な設計術

「パッシブデザイン」というと、建築家が用いる難解な専門用語のように聞こえるかもしれませんが、

実は、私たちの住む大阪の生活に根ざした、非常に実践的で身近な手法ばかりなんです。

昔の町屋が持っていた「夏の暑さを凌ぐ知恵」を、現代の技術と結びつけたものだと考えるとイメージしやすいかもしれません。

1. 夏の厳しい日差しを完全に「遮蔽」する

夏の大阪の太陽は本当に力強いですよね。この熱を家の中に入れない工夫、つまり「日射遮蔽(にっしゃしゃへい)」を徹底することが、夏の快適性を左右します。

私たちが重視するのは、窓の外側での対策です。いくら高性能なペアガラスやトリプルガラスでも、ガラス面に直接太陽光が当たれば熱は確実に侵入してきます。

そこで、設計段階で次の工夫を施します。

  • 深く軒を出す、または庇(ひさし)を設ける 夏至の角度が高い太陽は遮り、冬至の角度の低い太陽は室内に取り込めるよう、緻密な計算に基づいた軒や庇の出幅を設定します。

  • 外付けブラインドやタープの採用 窓の外側に設置することで、熱がガラスに触れる前にカットします。特に西日対策には、これらの採用が劇的に効果を発揮します。

  • 植栽による遮蔽 落葉樹を効果的に配置することで、夏は葉が茂って日差しを遮り、冬は葉が落ちて陽光を取り込むという、まさに自然のエアコンのような役割を果たしてくれます。

これら外側での対策を徹底するだけで、真夏の午前中、エアコンの立ち上がりや設定温度の感覚が格段に変わってきます。

2. 狭小地でも「風の通り道」を確保する

大阪市内や八尾市内の住宅密集地、特に狭小地での家づくりでは、「風の通り道」を意識することが非常に重要です。

いくら断熱性能が高くても、熱がこもれば窓を開けて換気したくなりますよね。

風を呼び込むために、私たちは「通風(つうふう)」を設計の基本に据えます。

  • 窓の配置 風の入口と出口を対角線上に設けることで、家全体に風を巡らせます。

  • 高窓・地窓の活用 高低差を利用した窓の配置で、暖まった空気が上昇する性質(浮力)による換気(温度差換気)を促し、効率的に熱を排出します。

大阪の路地裏を歩いていると、ふとした瞬間に涼しい風が抜ける場所があるように、家の中にもその「風の通り道」を意図的につくり出す。

これが、熱帯夜でもエアコンに頼りすぎず、心地よく眠れる秘訣なのです。自然の風で涼む気持ち良さ」は、最新の設備でも決して再現できません。

この設計の力こそが、住み心地を大きく左右します。

パッシブデザインは「家族とともに生きる家」である

私たちがパッシブデザインをおすすめする理由は、単に光熱費が安くなるから、という経済的なメリットだけではありません。

もっと深く、「家族とともに生きる家」という視点に立っているからです。

自然の光と風だけで快適に過ごせる家は、まず家族の健康を守ります

過度なエアコンの使用による乾燥や室内の温度ムラが少なくなり、小さなお子様からご高齢の方まで、皆が健康的に過ごしやすい環境が整います。

窓から差し込む冬の暖かな陽射しを感じながらリビングで過ごす時間、夏場に自然の風が頬をなでていく心地よさ。これらは、五感を育み、家族の会話を生み出す大切な要素です。

そして、パッシブデザインを取り入れた家は、将来のライフスタイルの変化にも強いという特長があります。

  • 生活費の安心: お子様が独立したり、ご自身がリタイアして年金生活になったりした後も、無理なく省エネ生活を継続できます。光熱費という固定費の心配が少ないことは、老後の大きな安心材料となります。

  • 建物の寿命: 建物の基本性能が高いということは、設備機器のように数年で取り替える必要がありません。建材への負担も少なくなり、家のメンテナンスサイクルを長く保てるため、結果的に長持ちする家になります。

家づくりの計画段階で、この「自然と調和した設計」を組み込むことで、「家族とともに生きる家」として、10年後、20年後も変わらない快適さを提供し続けることができるのです。

私たちは、単に「高性能な家」を建てるだけでなく、住む人の心と体が健やかでいられる「心地よい家」を提供したいと心から願っています。

八尾の地で長年培ってきた経験と、このパッシブデザインの考え方を融合させ、

皆さんの「春も夏も秋も冬も快適」な理想の暮らしを実現するための具体的なプランをご提案させていただければ幸いです。

まずは、皆さんの「家づくりへの想い」を私たちに聞かせてください。それが、パッシブデザインを取り入れた「家族とともに生きる家」への大切な一歩になります。

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