家づくりの重要ポイント
- 2025月12年19日
こんにちは!
お客様が住宅会社を訪れるとき、多くの場合、「こんな間取りにしたい」「こんなデザインが好き」という具体的なイメージを持っていらっしゃいます。もちろん、それは素晴らしいことです。
しかし、私たちが最初に面談させていただく際、すぐに間取りやデザインの話には入りません。なぜなら、間取りやデザインは、お客様の「価値観」「予算」「家の性能」という3つの土台が決まって初めて、意味を持つからです。
最初の面談で「間取り」の話はしない理由
もし、土台が曖昧なまま素敵な間取り図ができあがったとします。結果、「予算オーバーで希望の性能が確保できなかった」「家族のライフスタイルに合わず、すぐに不便になった」といった、後から修正できない後悔に直面します。
私たちアドバイザーが最初に行うのは、お客様の持つ**「漠然とした理想」を「具体的な判断軸」に変換する**作業です。そのために必ず確認している、3つの重要ポイントとその裏にある意図を、包み隠さずお伝えします。
住宅アドバイザーが確認する「3つの重要ポイント」と裏の意図
確認ポイント①:家族の「価値観」と「ライフスタイル」の深掘り
多くの方が「どんな間取りが好きですか?」と聞かれがちですが、私たちが聞くのは**「どんなことにストレスを感じますか?」**です。
【アドバイザーの質問と裏の意図】
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「家族の団欒と、個人の時間、どちらをより大切にしますか?」
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意図: LDK中心のオープンな間取り(団欒優先)か、スタディコーナーや個室に籠れる空間(個人優先)か、設計の方向性を決める。
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「朝、最も時間をかけている家事はなんですか?また、それを時短したいですか?」
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意図: 洗濯動線、収納計画、帰宅動線など、日々のストレスを減らすための間取りの最重要動線を特定する。
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「LDKを広くしたい」という要望の裏には、「家族の繋がりを大切にしたい」という価値観が隠れているかもしれません。価値観を明確にすることで、「本当に必要な広さ」や「空間のあり方」が見えてきます。
確認ポイント②:「資金計画の絶対安全圏」はどこにあるか
「予算はいくらですか?」という質問も、実は本質ではありません。
【アドバイザーの質問と裏の意図】
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「お子様が成長された後も、今の生活レベルを維持するために、毎月支払える住宅ローン額の上限はいくらですか?」
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意図: 建築費の予算ではなく、「無理のない返済可能額」、すなわち**「絶対安全圏」**を把握し、予算オーバーによる将来の家計破綻を未然に防ぐ。
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「ローン完済時の年齢と、老後の資金計画について、ご夫婦で話し合いましたか?」
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意図: 住宅ローンの組み方が、老後資金や退職金の計画に与える影響を認識させ、長期的な視点での資金計画を促す。
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家は建てて終わりではありません。無理のない資金計画こそが、家族の幸せな暮らしを守る土台です。
確認ポイント③:「性能とデザインのトレードオフ」の判断基準
お客様の理想を叶えるには、必ずどこかで「性能」と「デザイン(または広さ)」のトレードオフが生じます。この時の「判断基準」を明確にしておくことが重要です。
【アドバイザーの質問と裏の意図】
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「光熱費を年間3万円下げる性能向上と、ご希望の広いLDKのどちらを優先しますか?」
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意図: 漠然とした要望ではなく、**「金額と快適性」**という具体的な指標で優先順位をつけさせる。これにより、最終的な設計判断がスムーズになります。
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「大阪の気候を考慮した高気密・高断熱仕様は必須と考えますか?」
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意図: 「設備の豪華さ」よりも「建物の基本性能」を優先し、後からやり直しのきかない部分への投資の意識を促す。
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この判断基準が明確であれば、予算が厳しくなった時に「削ってはいけないもの」と「削っても良いもの」がすぐに判別できるようになります。
大阪での家づくりで特に重要な「プロの質問」
私たちは地域密着のアドバイザーとして、大阪市や八尾市特有の環境課題に基づいた質問も必ず行います。
Q. 地元の気候データ(日射・風)をどこまで考慮するか
大阪の家づくりにおいて、特に重要なのは**「パッシブ設計の導入レベル」**です。
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アドバイザーの視点: 密集地が多い大阪では、周辺環境による日影や、夏場の西日が大きな問題となります。周辺の建物の高さ、方位ごとの日射熱取得量と遮蔽率を数値でシミュレーションできる設計者を選び、**「窓の配置」**を科学的に検討することが、夏を快適に過ごすための絶対条件です。
Q. 密集地における「プライバシーと採光」の最適なバランスは?
狭小地が多い大阪では、隣家との距離が近く、大きな窓を設けるとすぐに視線が気になります。
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アドバイザーの視点: プライバシーを守りながら光を取り込むために、「ハイサイドライト(高窓)」や「吹き抜け」、**「ルーバーや目隠しフェンスの活用」**といった、縦の空間や外部設備を組み合わせた立体的な設計アイデアが必要となります。隣家との距離に応じて、最適な採光計画を提案できるかどうかが、設計士の力量を図るバロメーターです。
結び:プロの問いに「自分たちの答え」を持つことが成功への第一歩
住宅アドバイザーが投げかける質問は、あなたを試しているわけではありません。**「本当に家族が幸せになる家」を作るために、お客様自身に「自分たちの答え」**を見つけていただくための羅針盤です。
家づくりは、家族の価値観、経済観、そして未来の暮らし方が凝縮されたものです。曖昧なイメージではなく、**「なぜそれが必要なのか」**を明確にする作業こそが、後悔のない家づくりへの確かな一歩となります。

