COLUMNコラム

大阪の3階建てで後悔しないための認知設計 玄関編

2026.03.08

大阪の3階建てで後悔しないための認知設計 玄関編

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狭小地の玄関は面積を広げるより脳を広げる。

狭小地の玄関は面積を広げるより脳を広げる。

大阪の3階建てで後悔しないための認知設計 玄関編   以前、あるお客様がこんなお話をされていました。 「今の家は玄関が狭くて、家族4人が一斉に帰ってくるとまるで朝の御堂筋線のようなラッシュ状態なんです。 新しい家では、せめて、はぁ、帰ってきた、と深呼吸できる玄関にしたいんです」と。 面積を1坪増やすには、大阪の厳しい敷地条件では数百万円のコストや、 他の部屋を削るという苦渋の決断が伴います。でも、ちょっと待ってください。 実は、 私たちが広い狭いと感じる正体は、床の面積である平米数だけではないんです。   今回は、私が長年、大阪の狭小地で700棟以上ものお客様の家づくりを通じてたどり着いた、 脳の働きを味方につける設計思想、 すなわち「認知設計」という視点から、 後悔しない玄関の作り方を紐解いていきたいと思います。 ※こちらの内容は、シーキューブの安本昌巨が、 毎週火曜日の午前11時20分から、FMやお79.2MHz「OH! 家(おーいえー)あなたのお家の相談室」 という番組でお話しさせていただいている内容を、 コラム形式に再度詳細な内容を追加したものです。   もう放送を始めて12年にもなりますが、 ラジオ越しにいただくご相談の多くは、 うちは土地が狭いから、理想の家なんて無理ですよね、 というような切実な悩み相談もよくあります。 ★なぜ数字上の面積にこだわると家づくりは失敗するのか 大阪の都市部、特に3階建てが主流となる地域では、 1センチの余裕すら惜しいという現場が珍しくありません。 大手ハウスメーカーさんのカタログを見ると、ゆとりある玄関ホールが並んでいますが、 それをそのまま大阪の狭小地に当てはめようとすると、 途端にパズルのピースが合わなくなるようなこともあります。 多くの方が広い玄関とは床面積が大きいことと考えがちですが、 ここに落とし穴があります。 人間が空間を狭いと感じるストレスの正体の一つには、 視線の行き止まりがあります。 たとえ床が5畳あっても、目の前にそびえ立つ壁があれば圧迫感を感じます。 逆に3畳しかなくても、視線がどこまでも抜けていく仕掛けがあれば、 脳はそこを開放的な場所だと認識します。 この心地よい感覚を意図的に引き出すのが、 私たちが提唱する認知設計の真髄です。 玄関における認知設計 7つの階層という考え方 私たちが設計の現場で大切にしている、 のびやかな広がりを感じるための7つの視点をお伝えします。 これは単なるテクニックではなく、 住まう人の心を解放するための空間の編集術です。   1 境界消失:外と内の境目を目立たせない 人の脳は、線や段差を見つけると、そこを空間の終着点だと判断します。 例えば、ドアの枠が太かったり、天井に段差があったりすると、 視線はそこで止まってしまいます。 そこで、サンワカンパニーのクアドロスリムのような 枠の細い建具を選んだり、 室内の天井と外の軒天の素材や高さを1mm単位で揃えたりします。 目印を整えることで、視線がスムーズに外へと導かれ、 自然な開放感が生まれます。   2 視覚延長:対角線上の最長距離を見せる 玄関に入った瞬間、正面の壁を見てしまうと、 脳はすぐに距離を測ってしまいます。 これを避けるために、あえて視線を斜め奥へ誘導します。 部屋の対角線は、辺の長さの約1.4倍あります。 この家で一番長い距離を最初に見せることで、奥行きの余韻を感じていただきます。 廊下の突き当たりにLIXILの内部窓デコマドを配して、 その先の光を見せるのも有効な手段です。 3 重心操作:床を奥まで見せ続ける 靴箱が床にどっしり置かれていると、 そこが床の終わりになります。 私たちは大建工業の玄関収納などを用い、 床から30cmほど浮かせるフロート設計を推奨しています。 さらに、その下に照明を仕込んで影を消してあげると、 視線が家具の下まで届くようになります。 床面積を増やすのではなく、見えている床を増やすという発想です。 4 焦点分散:壁の位置を光でぼかす 天井の真ん中に強いライトがあると、 壁の四隅が強調され、閉じ込められた感覚が強まります。 大光電機のグレアレスダウンライトなどを使って、 壁面をふんわりと照らすコーニス照明を取り入れてみてください。 壁が光で外側に押されているように見え、空間が膨らんだような心地よい感覚を与えます。 5 素材同化:外の広場を自分の家に取り込む 外のアプローチと中の玄関タイルの素材や 目地の向きをぴったり揃えることも、非常に大切です。 名古屋モザイクの平滑タイルなどで、 段差のないサッシであるフラットレールを介してつなげば、 内と外をひとつの大きな広場のように感じられます。 ガラス越しに同じ素材が続くことで、 外の面積すら自分の家の広さの一部として、 のびのびと享受できるようになります。   6 比例破壊:物差しの基準を整える 天井まで届くフルハイトドアを使い、 一方で電気スイッチである 神保電器のNKシリーズなどの高さを、 標準より低い90cmに設定します。 いつもより低い場所にあるスイッチは視線に入り込まず、 天井まであるドアを見ることで、 視覚的な基準が変わり、相対的に天井を高く、 空間を伸びやかに感じさせることができます。   7 外部連結:視線のゴールを敷地外に置く 窓を単なる明かり取りではなく、 お隣の庭や空を切り取る額縁として設計します。 YKK APのFIX窓を使い、夜にはタカショーのガーデンライトでお庭の木を照らします。 視線の終着点を家の外に置くことで、自分の敷地を越えた無限の奥行きを、 生活の一部として取り込むことができます。 大阪の家づくりで見落とされがちなポイントと比較の視点 多くの会社が収納量をアピールしますが、 狭小地において収納を増やしすぎると、 かえって生活動線が圧迫され、 毎日の暮らしが窮屈に感じてしまうことがあります。 大手ハウスメーカーさんとの違いはここにあります。 大手ハウスメーカーさんはスペックや畳数という 分かりやすい数字で満足度を提示することが多いですが、 私たちシーキューブのような地域密着の 設計事務所、工務店が重視するのは、住んだ後の心情の描写です。   朝、急いで出かける時に、靴を履く姿勢はスムーズか。 靴箱一つの棚に男性が7足、女性が8足でイメージすると、 いったい何段確保し、その人は何足ほど靴を持つのか。 疲れて帰ってきた時に、玄関の光に癒やされるか。 ほっとする空間づくりに光の差し方は、 真上の白い光で昼間と認識させるのではなく、 壁側からの温白色のような赤い光のほうが、 脳の認知は夕方ととらえて、落ち着く。 こうした暮らしの解像度を上げることが、大阪での家づくりには不可欠です。 判断基準の比較表として、 例えば、 一般的な注文住宅ハウスメーカー:広さの定義は床面積の大き。 収納は容量を確保することを優先。   シーキューブの認知設計:広さの定義は視線の抜けと認識の広がり。 収納は必要数を確認しながら、浮遊感を作り、床を広く見せる。   一般的な注文住宅ハウスメーカー:窓の役割は採光と換気がメイン。 照明の目的は明るさを確保する。 シーキューブの認知設計:窓の役割は視線の終着点。 照明の目的は壁の圧迫感を和らげ、奥行きを創る。   などが違いです。   世代を超えて受け継がれる普遍的な価値としての設計   私たちがこの認知設計という概念を基に、そこへ力を注ぐのは、 家は単なる箱でもなければ、 ただの流行のデザインを追うものではではないと 考えるからです。   家は、私たち家族の歴史を刻む器です。 子供たちが成長し、やがて独り立ちし、また孫を連れて帰ってくる。 その時、いつまでも帰りたくなる家であるためには、 物理的な新しさや性能値も大切ですが、 そこに漂う心地よいゆとりがなによりも大切だと思うからです。 社会への教育、地域への貢献。 それは、大阪という土地が高くても、 限られた土地の中で、この大好きな大阪で住まい、家を建てる。 住まう人が誇りを持てる豊かな空間を創造し続けることです。 うちは狭いから、という言葉を、 私たちは、だからこそ知恵を絞るのが楽しい、と捉え直したい。 それが、私たちが受け継いできた家づくりの責任であり、真理です。   まとめ:判断の基準 最後に、ここまでの内容を整理します。 現状の課題:大阪の狭小地では、物理的な面積を広げるには限界がある。 解決策:脳の知覚をサポートする認知設計により、体感的な広さを最大化する。 判断の基準: 1 視線の先に抜けやアイストップがあるか。 2 床や天井の連続性を遮る余計な線が整えられているか。 3 光の使い方が壁の位置を優しくぼかすように計画されているか。   注意点:単に広い窓を作るだけでは、外からの視線が気になり、 結局カーテンを閉め切ることになります。 認知設計とは、プライバシーの保護と開放感を両立させる視点での設計目線も必要です。   もし、あなたが今、間取りの迷路に入り込んでしまっているなら、 一度立ち止まって面積という数字を忘れてみませんか。 大切なのは、そこであなたがどんな景色を見て、 どんな気持ちで毎日を過ごすか。 その答えを、私たちと一緒に探していけたら嬉しいです。 家づくりは、人生の大きな決断です。 後悔を減らすために、私たちはいつでもここで、 あなたのお話をお聞きする準備をしています。 FMやおの放送も、よろしければぜひ一度耳を傾けてみてくださいね。   皆さんの家づくりが、世代を超えて愛される素晴らしいものになりますように。 ※認知設計:今回のコラムに登場した玄関の推奨部材リスト 1 境界消失:サンワカンパニー クアドロスリム / アイカ工業 ノンフラップ仕様 2 視覚延長:LIXIL デコマド 3 重心操作:大建工業 玄関収納 4 焦点分散:大光電機 グレアレスダウンライト(75φ) 5 素材同化:名古屋モザイク 平滑タイル(600角) / 各社 フラットレールサッシ 6 比例破壊:神保電器 NKシリーズ / 神谷コーポレーション フルハイトドア 7 外部連結:YKK AP FIX窓 / タカショー ガーデンアップライト □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 安本 昌巨(やすもと よしきよ) 株式会社シーキューブ 代表取締役 / 二級建築士 「広さを設計する。ゆとりを設計する。狭小地に無限の広がりを。」 住宅業界に身を置いて28年以上。 大手ハウスメーカーの下請け工務店の現場監督からキャリアをスタートし、 大阪で、新築・リノベーション・不動産まで幅広い領域で 700棟以上の住まいづくりに携わる。 都市部の狭小地や密集地と向き合い続ける中、ひとつの確信に辿り着く。 それは、住まいの豊かさ、広さは「面積」ではなく、人が空間をどう認識するかで決まるということ。 この考えから提唱しているのが、独自の設計理論 「認知設計」 認知設計とは、人が空間をどう認識するかを設計する住宅デザイン。 土地の容積デザイン、光と風の取り込み、視線の抜け、素材や照明による錯覚効果など、 人間の知覚と空間構成を統合することで、 数字上の面積を超えた開放感と快適性を生み出す 住まいづくりを実践している。 この思想は 「狭小住宅:7つの階層」 「認知設計:7つの空間デザイン」として体系化され、 都市の限られた敷地でも開放感・機能性・資産価値を両立する住宅設計として注目されている。 設計の原点は、幼少期に感じた住まいの不便さ 学生時代に神戸で経験した阪神・淡路大震災の記憶。 家は単なる建物ではなく、 日常の快適さと家族の命を守る場所であるという信念のもと 設計に向き合っている。 著書 『家づくり 絆づくり 幸せづくり』(エルハウス刊) FM79.2MHz 「OH家エー あなたのお家の相談室」メインコメンテーター。 「狭いから仕方ない」を、 「狭いからこそシンプルな設計で豊かにできる」へ。 都市住宅における新しい住まいの価値を提案し続けている。 家を単なる「性能商品」としてではなく、 「住み心地そのものを性能として考える」 そんな住まいの相談相手として、気軽に声をかけていただけたら嬉しいです □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□    

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