大阪の3階建てでは特に「ただの通路」になりがちな場所を、
認知設計で「意味のある居場所」に変える提案です。
※認知設計とは、 実際の広さ 以上の開放感を生み出す 空間デザインです。
狭小住宅の「廊下」「階段」をただの通路で終わらせない。
大阪の3階建てで「移動」が「癒やし」に変わる知恵
大阪で3階建てを考えているお客様から、よくこんなお声をいただきます。
「階段や廊下はどうしても暗くて狭くなっちゃいますよね。移動するだけだから、ここは我慢するしかないんでしょうか?」と。
実は、大阪のような限られた土地の住まいこそ、
この「廊下」や「階段」の使い方が、
家全体のゆとりを左右する、とっても大切なポイントなんです。
「ただの通路」を「ホッとする居場所」に変える。
そこには、壁を動かす以上の知恵、認知設計の出番。
つまり私たちの「脳」に広がりを教えてあげる設計があるのです。
なぜ、廊下は「ただの通路」になってしまうのか?
多くの住宅メーカーさんは、
「廊下は最小限にして、その分部屋を広くしましょう」と提案します。
もちろん、それも一つの正解なのですが、
実は、細長いだけの暗い廊下は、脳にとって「早く通り過ぎたいストレス」になります。
想像してみてください。両側に高い壁が迫る細いトンネルを歩いているとき、
「あぁ、早く出口に行きたい」と少し息苦しくなる感覚と同じです。
私たちは、この「トンネル感」を丁寧に取り除き、
移動するたびに脳が「おっ、ここも気持ちいい空間だね」と
感じてくれるような、認知設計の7つの階層を散りばめていくのです。
建築士・専門家だけが知っている「廊下・階段・ホール」
認知設計 7つの階層
1 境界消失:階段の手すりを「壁」から「線」へ
階段の横が普通の腰壁だと、脳はそこを「行き止まり」と判断します。
設計デザイン解決策:階段の手すりを、
サンワカンパニーの「レガリス」のようなスチール製や、
アクリルパネルなどの透過するものに変えます。
心のゆとり:壁が消え、視線が横に抜けることで、
まるで空中に浮いているような、軽やかな気分で上り下りができるようになります。
2 視覚延長:廊下の突き当たりを「止まり」にしない
廊下の終わりがただの壁だと、
脳はそこで空間のサイズを測ってしまいます。
設計デザイン解決策:廊下の突き当たりに、
あえて外の景色が見える窓を配置したり、
ニッチ(飾り棚)を作ってスポットライトを当てます。
心のゆとり:視線が廊下の端で止まらず、
その先にある光や飾りへ吸い寄せられるので、
たとえ短い廊下でも、豊かな奥行きを感じられるようになることでしょう。
3 重心操作:廊下の収納を「浮遊」させる
廊下に収納を作ると、どうしても圧迫感が出やすくなります。
設計デザイン解決策:廊下の壁面収納を、
床から少し浮かせたフロートデザインにします。
心のゆとり:床面が壁の際まで続いているのが見えることで、
脳は「足元が広いな」と安心し、
狭い通路でも肩の力を抜いて歩けるようになります。
4 焦点分散:天井ではなく「足元」や「壁」を照らす
真上から強いライトで照らすと、廊下の「狭さ」が強調されてしまいます。
設計デザイン解決策:大光電機の「フットライト」を低い位置に置いたり、
階段の段板の下にライン照明を仕込みます。
心のゆとり:光の重心が下がることで、
天井が高く感じられ、夜中に歩くときも
「優しい光に守られている」ような落ち着いた感覚になれます。
5 素材同化:階段と床の色を「ひと続き」に揃える
1階の床、階段、2階のホール。
ここがバラバラの色だと脳は空間を分断してしまいます。
設計デザイン解決策:床材と階段の踏み板の素材・色を、
永大産業の「スキスム」などで統一感をもって揃え、目地のラインを繋げたりします。
心のゆとり:1階から3階までが「一つの大きな空間」として認識されるので、
お家全体のボリュームがぐんと大きくなったように感じられます。
6 比例破壊:高い窓と低い手すりのバランス
普通の窓と普通の手すりでは、脳はすぐにその場所の狭さに気づいてしまいます。
設計デザイン解決策:階段の踊り場に、天井まで届くような縦長の窓を配置し、
逆に手すりの位置を少しだけ低く見せるデザインにします。
心のゆとり:基準がバラバラになることで、脳は「ここは吹き抜けのように高い場所だ」と立派に感じ、毎日の移動がちょっとしたイベントのように楽しくなります。
7 外部連結:階段の途中に「空」を切り取る
階段を上がっている途中の視線に、空が見える小さな窓を作ります。
設計デザイン解決策:YKK APやLIXILの横すべり出し窓を高い位置に使い、
昼間は青空を、夜は月を切り取ります。
心のゆとり:家の中を移動しているだけなのに、ふと外の世界と繋がれる。
その一瞬の「抜け」があるだけで、屋内と屋外の境界線がぼやけ、
心もより自由になれる感があります。
建築士 狭小住宅の専門家が伝えたい「あとから後悔しない」大切なポイント
ほとんどの人が、廊下は「ただ通るだけの場所」と考えがちです。
でも、大阪の狭小地では、この数平方メートルの使い方が
「お家のゆとり感覚」を決めると言ってもいいかもしれません。
たとえば、廊下の幅を物理的に数センチ広げることよりも、
突き当たりに窓を一つ作る、あるいは「階段をスケルトンにする」方が、
よっぽどお家全体のゆとり感はアップします。
最近では、階段の踊り場を少しだけ広げて、
そこをカウンタースペースにする「1.5階の居場所」という提案も増えています。
単なる移動の場所が、お子さんの読書コーナーになったり、
ちょっとした洗濯物を畳むスペースになったり。
「収納のために壁を作る」のではなく、
「ゆとりのために壁を抜く、あるいは光を入れる」
このような視点が、10年後も「この家にして良かった。快適だ」と
ゆとり感を持てるかの分岐点となってきます。
世代を超え、住み心地という「真理」を届ける
私がこの認知設計を大切にするのは、
「一生モノの心地よさ」だからです。
デザインの流行り廃りはありますが、
脳が「あぁ、なんかいい感じ」と認知する仕組みは、
時代を超えて、普遍的な価値を持ち続けます。
大阪の限られた土地で、家族が仲良く、
のびのびと、そして安全に暮らせる場所を守ること。
それが私たち住宅業界、シーキューブの使命であり、責任と考えます。
「うちは狭いから、廊下は暗くて当たり前」と諦めなくとも大丈夫です。
知恵を使うことで、どんな場所でも「深呼吸したくなる空間」になるのですから。
もしなにか迷うことがあったら、いつでも私たちに声をかけてください。
一緒に、あなたの脳が、心が喜ぶ設計図を整理していきましょう。
ひろさを設計する
ゆとりを設計する
狭小地に無限の広がりを
認知設計:廊下・階段・ホールの今回のコラムで登場した推奨部材リスト
1 境界消失:サンワカンパニー レガリス(シースルー階段手すり)
2 視覚延長:LIXIL デコマド(廊下の突き当たり用)
3 重心操作:パナソニック フロートライン収納
4 焦点分散:大光電機 フットライト / 壁付ブラケット照明
5 素材同化:永大産業 スキスム(床・階段同色材)
6 比例破壊:神谷コーポレーション フルハイトドア(ホール用)
7 外部連結:YKK AP 高所用横すべり出し窓 / 天窓(スカイシアター)
【認知設計とは】
人が空間をどう認識するかを設計する空間デザイン。
面積ではなく人の知覚によって空間の広がりを設計する設計思想です。
※こちらの内容は、毎週火曜日の11時20分から、FMやお79.2MHz「OH! 家(おーいえー)あなたのお家の相談室」でお話しさせていただいている内容をブログ形式にして、具体的な詳細情報などを追加したものです。
安本 昌巨(やすもと よしきよ)プロフイール
株式会社シーキューブ 代表取締役 / 二級建築士
「広さを設計する。ゆとりを設計する。狭小地に無限の広がりを。」
住宅業界に身を置いて28年以上。
大手ハウスメーカーの下請け工務店の現場監督からキャリアをスタートし、
大阪で、新築・リノベーション・不動産まで幅広い領域で
700棟以上の住まいづくりに携わる。
都市部の狭小地や密集地と向き合い続ける中、ひとつの確信に辿り着く。
それは、住まいの豊かさ、広さは「面積」ではなく、人が空間をどう認識するかで決まるということ。
この考えから提唱しているのが、独自の設計理論 「認知設計」
認知設計とは、人が空間をどう認識するかを設計する住宅デザイン。
土地の容積デザイン、光と風の取り込み、視線の抜け、素材や照明による錯覚効果など、
人間の知覚と空間構成を統合することで、
数字上の面積を超えた開放感と快適性を生み出す
住まいづくりを実践している。
この思想は 「狭小住宅:7つの階層」 「認知設計:7つの空間デザイン」として体系化され、
都市の限られた敷地でも開放感・機能性・資産価値を両立する住宅設計として注目されている。
設計の原点は、幼少期に感じた住まいの不便さ
学生時代に神戸で経験した阪神・淡路大震災の記憶。
家は単なる建物ではなく、
日常の快適さと家族の命を守る場所であるという信念のもと
設計に向き合っている。
著書
『家づくり 絆づくり 幸せづくり』(エルハウス刊)
FM79.2MHz
「OH家エー あなたのお家の相談室」メインコメンテーター。
「狭いから仕方ない」を、
「狭いからこそシンプルな設計で豊かにできる」へ。
都市住宅における新しい住まいの価値を提案し続けている。