【大阪の狭小地×3階建て住宅】― 建築費・坪単価・コスパの「誤解と現実」を正直に話します ―
【大阪の狭小地×3階建て住宅】
3階建ての家は本当に高くなるのか。建築コスト編
― 建築費・坪単価・コスパの「誤解と現実」を正直に話します ―
「なぜ大阪では3階建てが増えているのか」
それは大阪の土地価格が大きく影響しているわけです。
「2階建てに未練があっても、その気持ちは間違いではない」
費用、動線、いろんな不安も、よくわからないから、抱えたままだということももっともです。

今回のお話のテーマは、そんな相談の中で
いちばん不安が大きく、いちばん誤解が多いテーマ。
「お金」の話です。
私はこれまで30年近く、700棟以上の住まいづくりに関わってきましたが、
3階建てについては、今でもこんな声をよく聞きます。
「3階建てって、めちゃくちゃ高いんですよね?」
「坪単価が一気に跳ね上がるって聞きました」
結論から言います。
半分は正解、半分は誤解なのです。
この記事では、
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なぜ「3階建て=高い」というイメージがあるのか
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実際、どこでコストが上がり、どこで下がるのか
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大阪の狭小地で“コスパが良くなる人・悪くなる人”の違い
を、ここでは営業トーク抜きでお話しします。
なぜ3階建ては「高い」と言われやすいのか
まず、このイメージが生まれる理由から整理しましょう。
理由①|構造体が強くなるから
木造3階建てでは、
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柱・梁のサイズ
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耐力壁の配置
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金物の種類と数
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構造計算(許容応力度計算)
これらが2階建てよりも厳しく求められます。
これは、安全面を考えれば当然のことです。
予想確立が高い南海トラフ地震にも備えて、家族の家を守る器として、
家づくりをおこなっていきたいと思えば、そうなっていくのも必然です。

理由②|「建売3階建て」の印象が強いから
大阪では、建売住宅の多くが3階建てです。
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土地+建物価格 全体で高く見える
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見た感じの大きさや、面積の割に割高に感じる
この印象が、そのまま
「3階建て=高い」
というイメージにつながっています。
ただし、ここに大きな落とし穴があります。
実務目線で見る「3階建ての本当のコスト構造」
ここからは、少し踏み込んだ話をします。
確かに上がる部分|構造体コスト
先ほどお話しした通り、
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構造材
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金物
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構造計算
この部分は、2階建てより確実にコストアップします。
感覚的には、
建物価格全体の中で+3〜5%程度。
ここは、否定しません。
でも、下がる部分もあります
一方で、3階建てには
コストが下がる要素もあります。
基礎面積が小さくなる
同じ延床30坪でも、
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2階建て:1階部分15坪+2階部分15坪≒基礎15坪
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3階建て:1階部分10坪+2階部分10坪+3階部分10坪≒基礎10坪
という基礎面積になります。
屋根面積も小さくなる
屋根は、実は意外とコストがかかります。
屋根面積が小さくなれば、
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屋根材
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防水
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足場
これらも抑えられます。
結論|差し引きすると、どうなる?
実際のところ、
大阪の狭小地×木造3階建ての場合、
坪単価で+3万円前後アップ程度
に収まるケースがほとんどです。
「思っていたより、差は大きくない」
そう感じる方も多いのではないでしょうか。
30坪のお家で約90~100万程度。
大阪の土地の坪単価が100万~150万程度で探していたならば、
総額では、場合によっては、十分コスパ良く家ができるようになるというのが実情です。

3階建ての家で“コスパが悪くなる人”の共通点
ここが非常に重要です。
3階建の住宅とは、
設計の選択次第で「割高」にも「割安」にもなる家」です。
コスパを悪くする代表例①|インナーガレージ
大阪では、
「1階にインナーガレージを入れたい」
という要望が多いのです。
駐車場を月ぎめで2万円とか3万円とかする地域もありますから、
まずはインナーガレージをとお考えになる気持ちもよくわかります。
ただ、これはコストアップの代表格です。
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構造が複雑になる
-
耐震設計が難しくなる
-
建物面積が増える
結果として、
数百万円単位でコストが上がることもあります。
実務的な提案
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車を外に置けるなら、その方が断然コスパは良い
-
どうしても必要なら、最初から予算に織り込む
- シャッターをつけない(これだけでも初期投資だけでなく、さらにメンテナンスコストも考えると100万相当のコストダウンにもつながります)
「なんとなく駐車場高いから欲しい」で選ぶと、後悔しやすいポイントです。
設備を増やしすぎると、3階建ては一気に高くなる
これも、よくある失敗例です。
よくある要望
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各階にトイレ
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各階に洗面
-
収納をとにかく増やしたい
気持ちは、よく分かります。
でも、これを全部やると、
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給排水が複雑
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メンテナンスコスト増
-
建物面積が増加
という悪循環に入ります。
実務的な最適解
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トイレ・洗面は2ヶ所以内
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生活動線を整理して、数を減らす
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面積を増やすより「配置」を工夫する
これは、
長く住んだ方ほど「やって良かった」と言われるポイントでもあります。
「坪単価」で家を判断すると失敗しやすい理由
ここは、ぜひ知っておいてほしい話です。
3階建ては、
坪単価だけを見ると割高に見えます。
でも、重要なのは、
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延床面積
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土地代
-
立地価値
を含めたトータルコストです。
例え話で考えてみましょう
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郊外で2階建て(安い土地)
-
都市部で3階建て(高い土地)
建物だけ見れば、前者の方が安い。
でも、
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通勤時間
-
交通費
-
将来の売却価値
まで含めると、
どちらが本当にコスパが良いかは人によって、立地、建物によって違うものです。
大阪では特に、
「土地×建物×暮らし」で考えないと、判断を誤ります。
考え方が、マンションと戸建の両方のメリットを併せ持って検討されるイメージに近いかと思います。
3階建ては「建て方」でコスパが決まる
私がいつもお伝えしているのは、これです。
3階建ては、
「階数」で高くなるのではなく、
「設計の判断」で高くなる。
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廊下を減らす
-
階段ホールを作りすぎない
-
断熱性能を上げて空間を一体で使う(断熱等級5~6レベル以上)
こうした工夫で、
面積もコストも抑えながら、快適さを上げることができます。
まとめ|3階建てのコスパは「考え方」で決まる
3階建ては、
-
何も考えずに作ると高くなる
-
考えて作ると合理的になる
そんな住まいです。
大阪の狭小地では、
「無理して窮屈に3階建てを建てない必ず2階!」より
「予算と相談しながら、3階建ても含めてどう建てるか検討」が重要なのです。
2階建てと比べて、
-
どこが上がるのか
-
どこが下がるのか
このバランスを理解することで、
3階建ては決して損な選択ではなく、賢い選択となります。
数字が不安な方こそ、早めに相談を
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予算オーバーしそう
-
建売と注文で迷っている
-
そもそも何にお金がかかるか分からない
こうした不安は、
図面と数字を並べて整理すると、一気に解消します。
大阪・八尾・阿倍野を中心に、
狭小地×3階建て住宅を数多く手がけてきました。
「高そうだから無理」
ではなく、
「どうすれば納得できる予算で、快適な家になるか」
そこから一緒に考えましょう。
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安本昌巨 ブログ用プロフィール
株式会社シーキューブ代表取締役。二級建築士。
住宅業界歴28年以上。
大手ハウスメーカーの下請け工事店として現場経験を積み、新築・リノベーション・不動産まで幅広く携わり、これまで累計700棟以上のご家族様の住まいづくりに関わってきました。
大阪を中心に、狭小地や都市部住宅など条件の難しい住まいにも数多く向き合う中、
「どんな家を建てるか以上に、誰に相談するかが、暮らしの満足度を左右する」
ということを実感しています。
著書『家づくり 絆づくり 幸せづくり』(刊・エルハウス)では、住まいを通じた家族の関係性について発信。
また、79.2MHz FMやお『OH家エーあなたのおうちの相談室』では、メインコメンテーターとして、専門的な住宅の話をできるだけ分かりやすく伝えることを大切にしています。
小学生のころまで、冬になると一度外へ出なければ入れなかった祖父の家の寒いお風呂。
そして大学生のとき、神戸で阪神・淡路大震災を経験し、被災した友人たちの家を何軒も見て回ったこと。
これらの体験から、
「家は性能以上に、日常と命を守る場所だ」
と確信するようになりました。
家を単なる「性能商品」としてではなく、
「住み心地そのものを性能として考える」
そんな住まいの相談相手として、気軽に声をかけていただけたら嬉しいです
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