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狭小住宅 階段の考え方~大阪都市部での住宅建築設計する視点~

階段の位置で暮らしは激変する

狭小住宅の間取りと設計で後悔しやすい盲点とは

「階段って、脇役ですよね?」

家づくりの打ち合わせで、こう言われることがあります。

LDKの広さやキッチンの形、収納の量は真剣に議論するのに、

階段は「ここに入れておきましょうか」で決まっていく。

 

けれど、完成後にいちばん「じわじわ効いてくる」のが、

実は階段の位置です。

 

大阪市内や八尾市内の狭小住宅、特に3階建ての場合、

階段は単なる上下移動の装置ではありません。
暮らしの骨格そのものです。

今日は、狭小住宅 大阪で家づくりを考える方に向けて、

階段という“盲点”を、冷静に整理していきます。


なぜ狭小住宅では階段が重要なのか

結論からお伝えします。

狭小住宅の間取りでは、

階段は「設備」ではなく「動線のハブ」です。

その理由は、大きく3つあります。

 

  1. 縦移動が増える

  2. 家事動線と直結する

  3. 空間の中心を決めてしまう

延床25坪前後の3階建てでは、1日の階段昇降回数が想像以上に多くなります。
洗濯、片付け、子どもの行き来、来客対応。すべてが階段を経由します。

 

つまり階段の位置が悪いと、毎日の小さな負担が積み重なり、暮らしの疲労につながるのです。


例え話: エレベーターが遠いマンション

駅直結のマンションを想像してください。

立地は最高。でも、エレベーターが一番奥にある。
毎日そこまで歩く。

不便ではない。
けれど、地味にストレスが溜まる。

階段も同じです。

狭小住宅の設計では、「使えるかどうか」ではなく、

「毎日心地よく動けるかどうか」が重要になります。

 


ケース比較

玄関横階段とリビングイン階段

玄関横階段の特徴

メリット
・来客動線と分離しやすい
・2階へ直接上がれる

注意点
・家族の顔を合わせにくい
・子どもの帰宅が分かりづらい

自立を重視する家庭には合う場合もありますが、

家族の気配を大切にしたいご家庭では再検討が必要です。

 


リビングイン階段の特徴

メリット
・必ずLDKを通る
・廊下を減らせる
・空間の一体感が出る

注意点
・冷暖房計画が不可欠
・音が抜けやすい

ここで重要なのは、階段の問題ではなく

建物性能の問題だということです。

大阪であれば断熱等級5以上、

できれば6相当。

気密性能の確保。

1.0以下であれば合格ともいわれますが、できれば0.5以下。

空調計画の設計。

断熱の性能が伴っていれば、寒さの問題は起こりにくいです。
断熱性能が弱ければ、階段は単なる「冷気の通り道」になります。

これは、間取りの問題ではなく、設計の基本的な考え方のところです。


洗濯動線で見る階段の負担

例えば3階建てで、

1階に洗濯機
3階にバルコニー

この配置だと、1回の洗濯で最低2往復。
1日1回でも、年間約700往復。

積み重ねると、かなりの運動量です。

実際に八尾市で設計した敷地23坪・3階建ての住宅では、

当初1階水回り・2階LDK・3階個室の計画でした。

 

しかし洗濯動線を再検討し、

2階に洗濯機と室内干しスペースを配置。
結果として、階段移動が半分に。

 

奥様からはこう言われました。

「階段の回数が減っただけで、毎日が楽になりました」

 

狭小住宅 設計では、こうした“回数の設計”が非常に重要です。


将来を見据えた階段設計の判断基準

内閣府の高齢社会白書によると、65歳以上の割合は年々増加し、

都市部でも高齢単身・夫婦世帯が増えています。

 

大阪の都市型住宅で3階建てを選ぶ場合、次の視点が欠かせません。

  1. 長期居住前提か、将来住み替え前提か

  2. 階段幅85cm以上確保できるか

  3. 手すり設置の余地はあるか

  4. 将来昇降補助機器を設置できる直線階段か

  5. 階段の始まり、終わり部分にスペースの確保ができるか

階段は「今」だけでなく「20年後」を見据えて設計する場所です。

 

ここは住宅営業マンからではほとんど語られません。
なぜなら、設計の目線であるからです。

また営業マンが設計士に教えてもらったとしても、

見た目のインパクトが弱いから、お話しないことででしょう。

 

しかし、後悔は静かに、そして確実にここから始まります。


階段ホールをつくらないという選択

狭小住宅 大阪では、面積の使い方が重要です。

階段ホールを独立させると、

・冷暖房効率が落ちる
・空間が分断される
・有効面積が減る

一方で、リビングイン階段+吹き抜けで一体化すると、

縦の広がりを活かせます。

同じ延床面積でも、体感が変わるのです。

これは、数字では見えない設計の差です。


階段の位置は心理にも影響する

子どもが帰宅して「ただいま」を言う場所。
親がその声を自然に聞ける位置かどうか。

階段の位置は、

・家族の距離
・会話の頻度
・生活リズム

にも影響します。

設計とは、空間をつくることではなく、

行動をデザインすること。

 

狭小住宅 間取りでは、この視点が抜け落ちると、

完成後に違和感が生まれます。


大阪の狭小住宅で特に注意したいこと

都市部では、

・敷地20坪前後
・3階建て
・隣家が近い
・駐車場を確保

というような条件が多いです。

 

その中で階段位置を誤ると、LDKの形も、光の入り方も、動線も、すべてが歪みます。

だからこそ、階段は最後に決めるのではなく、

最初に決めるべきです。

 


最終的な判断基準

迷ったときは、次の4点を確認してください。

  1. 洗濯動線は1日何往復か

  2. 将来の昇降は安全か

  3. 家族の顔が自然に見えるか

  4. 断熱性能は十分か

 

この4つを整理できれば、階段の位置は自然と決まります。


まとめ

狭小住宅 大阪での家づくりでは、階段は脇役ではありません。

間取りを支える骨格であり、暮らしのリズムを決める装置です。

 

広さを語る前に、階段を語る。
デザインを決める前に、動線を整える。

数字に振り回されるのではなく、暮らしの回数で考える。

 

もし3階建てや都市型の狭小住宅 設計で迷っているなら、
一度、間取り図の中の階段をじっくり見てみてください。

そこに、未来の暮らしの質が隠れています。

そして、その問いを一緒に整理するのが、設計の本当の役割だと私は考えています。

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安本昌巨 ブログ用プロフィール

株式会社シーキューブ代表取締役。二級建築士。
住宅業界歴28年以上。

大手ハウスメーカーの下請け工事店として現場経験を積み、新築・リノベーション・不動産まで幅広く携わり、これまで累計700棟以上のご家族様の住まいづくりに関わってきました。

大阪を中心に、狭小地や都市部住宅など条件の難しい住まいにも数多く向き合う中、
「どんな家を建てるか以上に、誰に相談するかが、暮らしの満足度を左右する」
ということを実感しています。

著書『家づくり 絆づくり 幸せづくり』(刊・エルハウス)では、住まいを通じた家族の関係性について発信。
また、79.2MHz FMやお『OH家エーあなたのおうちの相談室』では、メインコメンテーターとして、専門的な住宅の話をできるだけ分かりやすく伝えることを大切にしています。

小学生のころまで、冬になると一度外へ出なければ入れなかった祖父の家の寒いお風呂。
そして大学生のとき、神戸で阪神・淡路大震災を経験し、被災した友人たちの家を何軒も見て回ったこと。

これらの体験から、
「家は性能以上に、日常と命を守る場所だ」
と確信するようになりました。

家を単なる「性能商品」としてではなく、
「住み心地そのものを性能として考える」
そんな住まいの相談相手として、気軽に声をかけていただけたら嬉しいです

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