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狭小住宅で後悔しない設計判断~大阪都市部で狭小住宅を設計する視点~

狭小住宅で後悔しない設計判断

広さではなく「設計力」を選ぶという話

狭小住宅は難しいですか?難しくないと言えばうそになる。
これは事実だと思います。

ただ、長年大阪で狭小住宅の間取りと設計に向き合ってきて感じるのは、

難しいのは面積そのものではなく、

「整理されていない希望」をそのまま積み上げてしまうことだと思ってもいます。

 

狭小住宅 大阪では、土地条件・容積率・隣家距離・採光制限など、

前提がすでに決まっています。

その前提を無視して理想だけを足すと、

完成後に違和感が生まれます。

 

今日は、狭小住宅 間取りと狭小住宅 設計で後悔を減らすための判断基準を、

実務視点で整理します。


結論:狭小住宅の満足度は「延床面積」では決まらない

要点を先に整理します。

狭小住宅で後悔しにくい設計の本質は以下の4点です。

  1. 面積より体感設計を優先する

  2. 動線は最後ではなく最初に決める

  3. 光は横ではなく縦方向も計画する

  4. 部屋数は将来年齢を前提に判断する

この4点が整理されている住宅は、延床20坪でも25坪でも満足度が安定します。

なぜそう言えるのか。

国土交通省の住生活総合調査では、住まいの満足度上位項目は
日当たり
収納
間取りの使いやすさ
が中心であり、

延床面積そのものは上位項目ではありません。

つまり、数字より設計精度が満足度を左右しているということです。


消費者が見落としやすい「数字の安心感」

25坪で5LDK。
20坪で3階建て。

可能かどうかで言えば、

多くの場合可能です。

 

しかし設計の現場で重要なのは、「成立するか」ではなく

「負担が残らないか」です。

 

例えば25坪で部屋数を優先すると、

LDKが圧迫される
収納が奥行不足になる
廊下が最小化され動線が窮屈になる。

 

数字上は成立していても、体感が損なわれるケースがあります。

ここは消費者目線では気づきにくい部分です。
図面上の面積配分と、実際の心理的広さは一致しません。

設計とは、面積の配分調整です。


大阪という前提条件を無視すると失敗する

狭小住宅 大阪では、次の条件が高確率で存在します。

隣家距離が近い
横窓が機能しにくい
間口が狭い
容積率を最大限活用する必要がある

 

この条件下で「広くしたい」と考えるなら、

横方向ではなく縦方向の設計が合理的です。

 

吹き抜けや階段位置はデザイン要素ではありません。
採光・通風・心理距離を制御する装置です。

 

例えば敷地18坪の大阪市内3階建て。

1階 水回り+主寝室
2階 LDK
3階 子ども室

 

2階LDKに部分吹き抜けを設け、上部から採光を確保。
廊下を極小化し、階段を動線ハブとして中央配置。

 

結果として延床はコンパクトでも、体感は広い。

ここで重要なのは、吹き抜けを入れたことではなく、
横採光が弱いという条件を前提に設計したことです。


狭小住宅20坪・25坪での専門的判断順序

実務で私は次の順番で判断します。

  1. 将来年齢を想定する

  2. 動線回数を数値化する

  3. 採光方向を検証する

  4. 部屋数の優先順位を再確認する

例えば3階建て設計プラン。

1階に洗濯機
3階にバルコニー

この場合、年間数百回の階段昇降が発生します。

図面では見えませんが、生活負担は蓄積します。

 

洗濯動線を2階に集約するだけで、

階段回数は半減する。

これは設計者が良くみている視点です。


消費者では気づきにくい「余白の価値」

狭小住宅では、部屋数を増やすほど余白が消えます。

余白とは、

視線の抜け
天井の高さ
動線の溜まり
心理的圧迫の少なさ

のことです。

 

延床25坪で5LDKは可能です。
しかし4LDK+余白の方が体感は広いケースが多い。

ここは単純な面積計算では導けません。

設計とは、空間の心理効果を扱う作業です。

 


後悔が生まれる瞬間

後悔は「足りなかった」ではなく、
「考えていなかった」から生まれます。

例えば、

将来階段昇降が困難になる可能性
個室が使われない期間
日中カーテンを閉めたままの生活
冷暖房効率の低下

これらは初期検討では話題になりにくい項目です。

 

しかし、完成後の満足度には強く影響します。

 

専門家の役割は、希望を実現することだけではありません。
見落としやすいリスクを言語化することです。


狭小住宅で後悔しないための実務基準

要点を明確に整理します。

狭小住宅 間取り判断基準

  1. 延床面積より体感広さを優先

  2. 階段と動線は最初に確定

  3. 採光は縦方向を活用

  4. 部屋数は将来使用年数で判断

  5. 廊下は削減ではなく最適化

これが整えば、20坪でも25坪でも安定します。


設計とは問いを整えること

家づくりで多い不安は、「足りなかったらどうしよう」という感情です。

 

しかし、実際の失敗は「整理しなかったこと」に起因します。

なぜ5LDKが必要なのか
なぜ3階建てが不安なのか
なぜ吹き抜けを避けたいのか

理由を言語化できれば、間取りは変わります。

 

設計とは答えを出す作業ではありません。
優先順位を明確にする作業です。


最終的にお伝えしたいこと

狭小住宅 大阪で重要なのは、広さを追いかけることではなく、

条件に対する合理的な解答を出すことです。

 

3階建ては妥協ではない。
吹き抜けは贅沢ではない。
部屋数は安心材料ではない。

設計とは、条件を前提に最適化することです。

もし今、

狭小住宅 20坪で迷っている
狭小住宅 25坪で部屋数に悩んでいる
狭小住宅 設計で不安が消えない

そのときは、面積ではなく優先順位を整理してください。

広さで家は決まりません。
設計精度で暮らしは変わります。

制限があるからこそ、設計は深く、やりがいあるものへとなります。

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安本昌巨 ブログ用プロフィール

株式会社シーキューブ代表取締役。二級建築士。
住宅業界歴28年以上。

大手ハウスメーカーの下請け工事店として現場経験を積み、新築・リノベーション・不動産まで幅広く携わり、これまで累計700棟以上のご家族様の住まいづくりに関わってきました。

大阪を中心に、狭小地や都市部住宅など条件の難しい住まいにも数多く向き合う中、
「どんな家を建てるか以上に、誰に相談するかが、暮らしの満足度を左右する」
ということを実感しています。

著書『家づくり 絆づくり 幸せづくり』(刊・エルハウス)では、住まいを通じた家族の関係性について発信。
また、79.2MHz FMやお『OH家エーあなたのおうちの相談室』では、メインコメンテーターとして、専門的な住宅の話をできるだけ分かりやすく伝えることを大切にしています。

小学生のころまで、冬になると一度外へ出なければ入れなかった祖父の家の寒いお風呂。
そして大学生のとき、神戸で阪神・淡路大震災を経験し、被災した友人たちの家を何軒も見て回ったこと。

これらの体験から、
「家は性能以上に、日常と命を守る場所だ」
と確信するようになりました。

家を単なる「性能商品」としてではなく、
「住み心地そのものを性能として考える」
そんな住まいの相談相手として、気軽に声をかけていただけたら嬉しいです

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