もしも建築士が大阪で中古マンションを購入してリノベーションするとしたら。~物件選び~
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もしも建築士が大阪で中古マンションを購入してリノベーションするとしたら。~物件選び~
「建築士はどこをみて判断基準していくのか」
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今回のマンションリノベ、購入前のポイントとは要点
・大阪のマンションリノベは「物件購入前の確認」で成否の8割が決まる
・動かせないのは「PS(配管)・梁・床構造・管理規約・窓(共用部)」
・見積が膨らむ原因は“見えない更新”(配管・電気容量・下地)
・規約と床構造の確認なしにデザインは決めない
・購入前に設計者が同行し「できる/できない」を確定するのが最短ルート
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はじめに
大阪で中古マンションを購入し、自分たちらしい空間へ整える。
合理的な選択で最近非常に多い問い合わせです。
しかし、戸建てと違いマンションは「自由設計」ではありません。
最大の落とし穴はここです。
“できると思って買ったのに、できなかった。”
専門家の立場から言うと、失敗の原因はほぼ購入前にあります。
工事ではありません。
物件選定の段階です。
ここでは、消費者目線では見落としやすい「設計者が最初に見る順番」を
もし、建築士が中古マンションをかってリノベをするとしたらの目線で、お話します。
1. まず最初に見るのは「管理規約」
デザインより先に、管理規約です。
なぜなら規約は“変えられない条件”だからです。
戸建でいうと、土地の形状にあたります。
必ず確認する項目は次の通り。
・床材の遮音等級(例:L-45相当など防音性能の指示)
・工事可能時間と申請ルール
・エアコン・給湯器の設置条件
・ペットの規定
・窓・サッシの扱い(共用部としてどう取り扱うのか)
特に大阪の大規模マンションやタワーマンションでは、
工事申請の書類量や承認期間が想像以上に長くなることがあります。
「無垢にしたい」「床を張り替えたい」
この希望が規約で難しくなるケースもあります。
設計の前に規約を読む。
最初の第1ステップは、これが基本です。
2. PS(パイプスペース)
位置が“間取りの限界”を決める
一般消費者が最も誤解しやすいポイントです。
水回りは自由に動かせると思われがちですが、
実際は排水勾配で制限されます。
パイプスペース(PS)の位置が固定されている以上、
・キッチンの移動範囲
・浴室位置
・洗面配置
には限界があります。
床を大きく上げれば可能になることもありますが、
・天井高さが下がる
・段差が発生する
・コストが増える
という副作用も出ます。
ここは設計者が現地で勾配をどうとれるのか判断します。
図面だけでは分かりづらい部分ですよね。
3. 床構造と天井構造で「できる照」が決まる
よくある要望。
「ダウンライトを入れたい」
「間接照明でホテルのようにしたい」
しかしここも構造で制限がでることがあります。
・二重床 → 配管自由度が高い
・直床 → 床材制約が出やすい
・二重天井 → 照明設計がしやすい
・直天井 → 配線が難しい場合がある
直天井の場合、
天井を解体しても高さが出ないケースもあります。
これは内見時に判断することが多くの場合可能です。
4. 見積が増える本当の理由
現地調査でわからないようなことがあるとしたら、ほぼ次の3つです。
① 既存配管の劣化(室内部は交換できますが、共有部分にあたる壁埋設部分でのつまりなど)
② 電気容量不足(分電盤交換ができない場合もあります)
③ 集合鍵、インターホンの場所移動(現状の配線が伸ばせる範囲に限界があることも多いです)
特に築30年以上のマンションでは、
・給水管の更新
・排水管の更新
を室内内部ができたとして、つなぎ目以降、どこまで行えるか。
管理組合とも相談ともなって、費用が変わるようなこともあります。
5. サッシは基本“変えられない”前提
窓サッシは共用部扱いが多いです。
断熱や結露の問題は窓が原因のことが多いですが、
外側サッシは基本的に個人で交換できません。
確認すべきは次の通り。
・内窓設置が可能か
・既存サッシ性能
・方角と日射(西日問題)
大阪の夏は厳しいです。
西向き住戸は遮熱設計が非常に重要です。
ここを無視すると、入居後に後悔します。
具体的な回避策は、カーテン、シエードなどになるかもです。
6. 管理状態は“資産価値”に直結する
設計以前の話になりますが、こちらも重要です。
・長期修繕計画の有無
・積立金水準
・改定履歴
・共用部の清掃状態
共用部が荒れているマンションは、
専有部だけ綺麗にしても将来リスクが残ります。
7. 大阪で起きやすい実例
・都心部は搬入制限で工期が伸びる
・大規模物件は承認期間が長い
・眺望住戸は日射・反射対策が満足度を左右する
・築古物件は共用配管更新計画と専有部更新範囲の整理が必要
“工事ができない”より、
“段取りで詰まる”ケースの方が多い。
8. 成功しやすい設計の共通点
事例を見ることも大切ですが、以下、次の3点を優先されると安心です。
① 渋滞をなくす動線設計
② 置き場を決める収納設計
③ 眩しさを抑える照明設計
マンションは広さより“整い方”で体感が変わります。
9. 判断の順番(迷ったらこの3つ)
1)変えられない条件(規約・PS・窓・構造)
2)暮らしの優先順位トップ3
3)予算配分(性能・設備・造作)
この順番で整理すれば、
事例やSNSに振り回されず、
入居後の満足度を上げられることにつながります。
まとめ
マンションリノベは工事が本番ではないとおもってもいいのかもしれません。
本番はもしかして購入前の確認と思っていても過言ではありません。
・規約
・PS
・床と天井構造
・窓
・電気容量
ここを事実ベースで整理できれば、
予算もプランも安定してきます。
どうしたらいいの?わからないことはいくつもでてくるものでしょう。
それは、迷いは悪いことではありません。
判断材料を揃えるタイミングの時間です。
マンション物件を購入前に「できる/できない」を確認していく。
それが大阪で失敗しないマンションリノベの最短ルートです。
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安本昌巨 プロフィール
株式会社シーキューブ代表取締役。二級建築士。
住宅業界歴28年以上。
大手ハウスメーカーの下請け工事店として現場経験を積み、新築・リノベーション・不動産まで幅広く携わり、これまで累計700棟以上のご家族様の住まいづくりに関わってきました。
大阪を中心に、狭小地や都市部住宅など条件の難しい住まいにも数多く向き合う中、
「どんな家を建てるか以上に、誰に相談するかが、暮らしの満足度を左右する」
ということを実感しています。
著書『家づくり 絆づくり 幸せづくり』(刊・エルハウス)では、住まいを通じた家族の関係性について発信。
また、79.2MHz FMやお『OH家エーあなたのおうちの相談室』では、メインコメンテーターとして、専門的な住宅の話をできるだけ分かりやすく伝えることを大切にしています。
小学生のころまで、冬になると一度外へ出なければ入れなかった祖父の家の寒いお風呂。
そして大学生のとき、神戸で阪神・淡路大震災を経験し、被災した友人たちの家を何軒も見て回ったこと。
これらの体験から、
「家は性能以上に、日常と命を守る場所だ」
と確信するようになりました。
家を単なる「性能商品」としてではなく、
「住み心地そのものを性能として考える」
そんな住まいの相談相手として、気軽に声をかけていただけたら嬉しいです
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