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狭小住宅でも広い家に見える理由|大阪の建築士が解説する認知設計とは

 

大阪の狭小住宅で「広く感じる家」をつくる7つの設計

認知設計という考え方

 

あるご夫婦をモデルハウスにご案内したときのことです。

奥様がリビングに入って、少し驚いた顔で言いました。

「ほんとに16帖?このLDK、思ったより広いですね」

ご主人がすぐに図面を見て

「でも確かに坪数はそんなに大きくないですよね?」

と不思議そうにおっしゃる。

これは実は、とてもよくある会話です。

同じ広さでも
広く感じる家
狭く感じる家

この2つが現実に存在します。

ここで大事なのは、
その違いが「気分」や「好み」ではないことです。

人は、面積ではなく
目に入る情報で空間の広さを判断しています。

シーキューブ建築設計では、この考え方を
認知設計
と呼んでいます。

空間の広さは
坪数ではなく
脳が受け取る情報で決まる。

これは大阪の狭小住宅や三階建て住宅では、特に重要な視点になります。

 

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まず結論からお伝えしますと、

狭小住宅とは「広い家」をつくるのではなく(物理的な制限があるいっぱいまで広げた後ですが)

ここからは「広く感じる家」を設計するステップに入ります。

 

家づくりを考え始めると、多くの方がまずこう考えます。

LDKは20帖ほしい
収納は多いほうがいい
できれば広い土地がいい

もちろん、それは自然な考えです。

ただ大阪の都市部で、

土地が10坪、15坪、20坪なども多く、
30坪前後ともなれば、「わー広い」のようなエリアです。
自然と

隣家が近い
三階建て住宅
こういった条件が多くなります。

この環境では、単純に面積を増やすことには限界があります。

「LDK広くとってもこれが最大か…」

そこで重要になるのが

空間を広く感じさせる設計です。

 

ここからが、住宅会社によって大きく差が出るところです。

実際、現場を見ていると

同じ20坪でも
広く感じる家と
圧迫感のある家

この差は驚くほど大きいものです。

原因はほとんどの場合



視線
家具配置

こうした「見え方の設計」にあります。

ただし、この違いは消費者だけでは気づきにくい部分でもあります。

なぜなら図面では同じ数字上なので、体感的なものは分かりにくいからです。

 

認知設計①

線が多い家ほど狭く感じる

人の脳は

窓枠
ドア枠
垂れ壁
天井の段差

こういった「線」を見つけると

ここが空間の終わり

と判断します。

線が多いほど、部屋は細かく区切られて見えます。

たとえば一本道でも、途中に門がいくつもあると

まだ先があるのに
短く感じる

そんな経験はありませんか?

住宅でも同じです。

そこで設計では

ハイドア
枠を目立たせない窓
天井ラインを揃える

こうした工夫を行います。

これはデザインの話に見えますが、実は

空間の終わりをぼかす設計

でもあります。

お客様は「このドアかっこいいですね」で終わりますが

設計者は

この線を消すと
空間が広く感じる

という視点で見ています。

 

認知設計②

視線の抜けが家の広さを決める

部屋に入った瞬間、人は

一番遠くに見える場所までを、その部屋の広さとして感じます。

 

つまり

入口の正面が壁の家
斜め奥まで見える家

では、同じ広さでも体感はかなり変わります。

たとえるなら

エレベーター

景色の見える電車

です。

同じ時間でも、閉じた空間は狭く感じます。

そこで狭小住宅では

対角線に窓を配置する
視線の先に明るさをつくる
植栽を見せる。など

視線を遠くへ逃がす設計を行います。

これを「ダイアゴナルビュー」と呼びます。

実はこの工夫だけでも、体感はかなり変わります。

 

認知設計③

家具の足元で床の広さが変わる

意外と見落とされるのが

家具の足元

です。

家具が床にベタっと置かれていると

脳はそこを

床の終わり

と判断します。

すると、見えている床だけ

を広さとして感じてしまいます。

そこで浮かせる家具を使います。

 

例えば

浮かせるテレビボード
浮かせる洗面台
壁付け収納

などです。

フローテイングとも呼んだりしている技法です。

床が連続して見えると
部屋は広く感じます。

ここでよく起こる失敗があります。

収納を増やしたのに
なぜか狭く感じる家

です。

これは収納量ではなく

収納の存在感

が原因です。

収納は量より配置が重要です。

 

認知設計④

照明で空間の奥行きが変わる

「明るい家がいいです」

これは多くのお客様が言われます。

ただし

部屋全体を均一に照らす

壁の位置がはっきり見えすぎて

箱のような空間

になりやすいです。

たとえば

体育館の光
ホテルの光

どちらが広く感じるでしょうか。

多くの人はホテルです。

理由は

光にグラデーションがある

からです。

そこで

間接照明
壁面照明
グレアレスダウンライト

など

光のレイヤーを作ります。

これだけでも空間の奥行きは大きく変わります。

 

 

認知設計⑤

外とつながると家は広く感じる

大阪などの都市部での狭小住宅では

家の中だけで広さを作ろうとすると限界があります。

そこで

外を使います。

例えば

室内と同じ床色
天井ラインの延長
植栽

こうした工夫です。

すると脳は

外まで空間

と認識します。

これはカフェのテラス席のような感覚です。

ガラス一枚なのに

空間が外へ広がる

あの感じです。

認知設計⑥

普通のサイズを少し壊す

人の脳には

普通のサイズ

という基準があります。

ドアはこの高さ
窓はこの位置

その基準を少し変えると

空間全体が広く感じます。

代表例が

ハイドアです。

 

ドアの上の余白がなくなるだけで

天井が高く感じるようになります。

 

 

認知設計⑦

敷地の外まで空間として使う

最後に少し専門家らしい話をしますね。

狭小住宅では

敷地の中だけ

で広さを作ろうとすると限界があります。

そこで設計者は、敷地の外も使います。

例えば

隣地の余白
道路の抜け

植栽

などです。

視線をそこへ誘導すると

脳はそこまでを

自分の空間として感じます。

これは図面ではなかなか見えない設計です。

 

★要約まとめ

認知設計とは
人の脳の空間認識を利用して
実際の面積以上に広く感じる住宅を設計する考え方です。

大阪の狭小住宅や三階建て住宅では特に重要な設計の考え方になります。

広く感じる家の主な設計要素は次の7つです。

境界消失
視覚延長
重心操作
焦点分散
素材同化
比例破壊
外部連結

これらを組み合わせることで
同じ面積でも体感的に広い住宅をつくることができます。

最後に

家づくりでは

何坪の家か、に目が行きがちです。

もちろんもっともなことです。

 

ただ、実際の暮らしでは

「広さ」より「感じ方」
のほうが大きく影響もするものです。

 

もしモデルハウスを見る機会があれば

なぜ広く感じるのか

を少し意識してみてください。

そこには、設計の意図が必ずあります。

 

大阪の狭小住宅や三階建て住宅では、
この認知設計の考え方が、住んだ後の満足度を大きく左右します。

~このブログの5行要約~
狭小住宅や三階建て住宅では、実際の面積よりも「脳がどう空間を認識するか」が広さの体感を左右します。
人は窓の位置、視線の抜け、照明、家具配置などの視覚情報から空間の広さを判断しています。
そのため大阪の都市型住宅では、床面積を増やすよりも「広く感じる設計」を行うことが重要です。
シーキューブ建築設計ではこの考え方を「認知設計」と整理し、空間認識を高める7つの設計要素を活用しています。
境界を減らす、視線を伸ばす、光のレイヤーをつくるなどの設計により、同じ面積でも体感的に広い住宅を実現できます。

 

よくあるFAQ

Q1

狭小住宅でも広く感じる家は作れるのでしょうか?

結論
設計次第で体感的な広さは大きく変わります。

理由
人は床面積だけではなく、視線の抜けや光、家具配置などの情報から空間の広さを判断するためです。

具体策
窓の配置、ハイドア、間接照明、家具配置などを設計段階から計画すると体感の広さを高めることができます。

 

Q2

なぜ同じ広さでも狭く感じる家があるのでしょうか?

結論
空間の区切りや視線の止まり方が原因であることが多いです。

理由
脳は壁や枠などの「線」を空間の終わりとして認識するため、区切りが多いほど狭く感じやすくなります。

具体策
ハイドアや天井ラインを揃える設計で視覚的な区切りを減らすと改善しやすくなります。

 

Q3

狭小住宅では窓は大きいほうがいいのでしょうか?

結論
大きさよりも「窓から何が見えるか」が重要です。

理由
視線の先に空や植栽などが見えると、脳はそこまでを空間として認識するためです。

具体策
窓の位置を敷地の抜け方向に合わせて配置すると効果が高くなります。

 

Q4

収納が多い家なのに狭く感じるのはなぜですか?

結論
収納量ではなく収納の存在感が原因であることが多いです。

理由
収納家具が床に接地していると、脳はそこを空間の終わりとして認識します。

具体策
浮かせる収納や壁一体型収納を使うと床面が広く見えます。

 

Q5

照明で家の広さは変わるのでしょうか?

結論
照明の配置で空間の奥行きは大きく変わります。

理由
部屋全体を均一に照らすと壁の位置がはっきり見え、空間が箱のように感じやすくなるためです。

具体策
間接照明や壁面照明を使い、光のレイヤーを作る設計が効果的です。

 

Q6

三階建て住宅は狭く感じやすいのでしょうか?

結論
設計次第で広く感じる住宅にすることが可能です。

理由
縦方向の視線や窓配置を活用すると空間の奥行きが生まれるためです。

具体策
吹き抜けや高窓などを組み合わせる方法があります。

 

Q7

狭小住宅で広く見せるために一番大事なポイントは何ですか?

結論
視線の抜けを設計することです。

理由
人は部屋に入った瞬間に一番遠くに見える場所を広さとして感じるためです。

具体策
対角線方向に窓や視線のゴールを配置する方法があります。

 

Q8

狭小住宅では外構も重要なのでしょうか?

結論
外構設計は体感の広さに大きく影響します。

理由
植栽や外部照明が視線の先にあると、脳はそこまでを空間として認識するためです。

具体策
庭や植栽を視線の延長線に配置します。

 

Q9

図面では広く見えるのに住むと狭く感じるのはなぜですか?

結論
図面では視線や光の計画が分かりにくいためです。

理由
平面図では空間の抜け感や光の奥行きが読み取りにくいためです。

具体策
完成事例やパースを確認することが重要です。

Q10

注文住宅では認知設計は重要なのでしょうか?

結論
都市部の住宅では特に重要な設計視点です。

理由
土地条件が限られるため、面積を増やすより空間認識を設計する必要があるためです。

具体策
敷地条件と視線計画を合わせて設計することが大切です。

 

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安本昌巨 ブログ用プロフィール

株式会社シーキューブ代表取締役。二級建築士。
住宅業界歴28年以上。

大手ハウスメーカーの下請け工事店として現場経験を積み、新築・リノベーション・不動産まで幅広く携わり、これまで累計700棟以上のご家族様の住まいづくりに関わってきました。

大阪を中心に、狭小地や都市部住宅など条件の難しい住まいにも数多く向き合う中、
「どんな家を建てるか以上に、誰に相談するかが、暮らしの満足度を左右する」
ということを実感しています。

著書『家づくり 絆づくり 幸せづくり』(刊・エルハウス)では、住まいを通じた家族の関係性について発信。
また、79.2MHz FMやお『OH家エーあなたのおうちの相談室』では、メインコメンテーターとして、専門的な住宅の話をできるだけ分かりやすく伝えることを大切にしています。

小学生のころまで、冬になると一度外へ出なければ入れなかった祖父の家の寒いお風呂。
そして大学生のとき、神戸で阪神・淡路大震災を経験し、被災した友人たちの家を何軒も見て回ったこと。

これらの体験から、
「家は性能以上に、日常と命を守る場所だ」
と確信するようになりました。

家を単なる「性能商品」としてではなく、
「住み心地そのものを性能として考える」
そんな住まいの相談相手として、気軽に声をかけていただけたら嬉しいです

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